『蜩ノ記(ひぐらしのき)』 葉室 麟 祥伝社 (2011/10/26)
第146回(平成23年度下半期) 直木賞受賞
” あるかなきかの微笑 ”
をたたえるのは、命の期限を定められている元郡奉行戸田秋谷。
この描写だけで雰囲気がつかめちゃいますね。
悪い人じゃないぞ、と。
命が惜しくない者はいない。と思うのです。
しかしながら、己の命に代えてまで家族の幸せを守り通そうと潔く切腹して逝く者もいるのです。
己の命に代えてまで友とその家族を慮る者もいるのです。
歴史オンチで名高い (?) ワタクシが無事に読了できたのも、おとこ気のある人物の生きざまに心をつかまれちゃったせいでしょうか。
全体の2/3ほどを悩みながら読み進めていった先で、とんでもない展開をみせ、ひとりの少年の死とその死を弔う友の行動にぐいぐい引っ張られ、ページをめくるスピードがUPしていったというわけ。
なんのことやらわからないと思いますのでザッとあらすじを書いてみますね。
( オンチなので苦労します
)
27歳から5年間、郡奉行を務め農民とも密に接し慕われた秋谷は三浦兼通の側室 (お由) と密通したと疑われ、十年後の切腹を命じられました。
なぜ十年の猶予があったかというと、秋谷が手掛けていた藩主・三浦家の歴史を綴った家譜を編纂し終えてから、という理由です。
その後の十年間は向山村に幽閉され、家譜を編纂しながら妻・娘・息子の家族4人で暮らしています。
そして、日々の雑事や思いを「 蜩ノ記 」という日記に記していました。
一方、豊後羽根藩の檀野庄三郎はささいな事で刃傷沙汰を犯し、切腹と引き替えに幽閉中の秋谷の元へ遣わされることになったのです。
秋谷を監視すると同時に、秋谷が密通事件をどのように家譜に記すのか報告するよう命じられました。
庄三郎は秋谷と生活を共にするにつれ、秋谷の潔白を信じるようになります。
この事件には何かウラがある。。。。
”ウラが大事 ”とは思いますが、オンチのワタクシはこの辺りの裏事情を軽くながし読みしちゃったわけです。 ジャンジャン
私が心奪われたのは、そんな裏事情よりこっち ↓↓
秋谷の息子郁太郎と親友である源吉は百姓の倅。
幼い妹、お春をいつも背負って面倒見がいい。
出来過ぎの倅には十中八九呑んだくれの父がセット。
ご多分に漏れず、源吉も苦労しているというわけ。
朗らかで前向き。
死に顔にさえも笑顔を浮かべてしまうような男っぷり。
苦しい顔を見せると妹お春が泣くからだ。
そう、源吉は殺人容疑でとりおさえられ、郡方目付に折檻されて命を落としてしまうの。
( 理由は書かない方がいいね。 気になる方は読んでみて )
お咎めの最中から涙がとまらなくってねぇ。。。
丸めたティッシュが川のように連なって。
( 山のように積むほどではないが、という意味 )
源吉の亡き骸を目にした郁太郎は源吉の仇討ちに向かうんです。
「 ご家老様に源吉の痛みを知ってもらう 」 ってわけ。
まだ少年ですよ。 カッコよすぎです!!
もちろん、庄三郎がお伴するんですけどね。
一目散に城に向かう郁太郎の体が燃えるほど熱をもった様子が伝わるようです。
そして、郁太郎が仇討ちに成功したか否かは書かずにおきましょう。
この話は映画化され、2014年10月に上映されるようです。
何度読み返しても (後) 安易に涙があふれます。
源吉と郁太郎にゾッコンです。
ランキングに参加しています。
ぽちっとClickしていただけると喜びます。
にほんブログ村
にほんブログ村