宮本輝 『三十光年の星たち』 毎日新聞社 (2011/3/12)
大好きな輝先生の本を久しぶりに。
金貸しのおじいさんの運転手として借金の取り立てに同行することになった青年の人生の転機を書いた物語。
どこを見込まれたのか、道中共にしていくうちにあれよあれよという間にスパゲッティ屋の主人にさせられ、店舗の拡大を課題にされ、不思議な力に導かれるように自分の人生を変えていこうとする青年。
失敗をしても下降線をたどるのではなく、人生の矛先を上向きに修正していく周りの人たち。
苦労をしても、修練を繰り返し何かを身につけて生きる目的を持つ。
そんな人の集まり。
誰も挫折しないし誰も甘やかされない。
誰かには必ず ”師” がいて、信じ、信じられる関係を築く。
30年後、自慢できる自分の姿を想像して気合をいれて人生を生きろ。
細い路地の車止めの先に居を構える青年と金貸し。
物語の始まりがこの地の描写で、ラストにはこの人を拒絶しているかのような象徴である車止めを壊そうとするシーンで終わる。
この小説に数多くあるキーワードのひとつ。車止めにもご注目。
読み終わって清々しいのは輝先生の全作品において共通です。
読了の余韻にふけって2日目の今日、たまたま中島みゆき氏のアルバム 「ララバイSINGER」 を聴いていたワタクシ。
TOKIOに楽曲提供した 『宙船 (そらふね)』 をがなるように唄う迫力にビビリはしたものの。。。
「おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな」
というフレーズが輝先生の世界だなぁ。。。って感じ入ってしまったのです。
何回もリプレイしました。
長瀬くんが負けている。。。ものすごい気迫。
また、偶然にも輝先生の 「水のかたち」 を図書館にリクエストしていると、みゆき氏の 『水』 がかかり、
「水の形を探してみて 水に形のないことを知る」
ってフレーズ。
どうしちゃったんだろう。 この連鎖。
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