誰の為に。

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    『 スクラップ・アンド・ビルド 』 羽田圭介   文藝春秋 (2015/8/7)

    無職の孫と要介護レベルの同居の祖父との交わりを描き、
    笑える場面をはさみつつも、慎重に対処する必要性を問われる日常。

    祖父の口癖は「はやく迎えにきてほしい」

    天からのお迎えを待つ毎日は、自室の天井をながめて大半が終わる。

    死にたい願望を口にするのを聞き飽きた孫は
    自殺ほう助の罪をかぶらない程度の手助けをしてやろうと気持ちをたかめてゆく。

    身の回りの世話を率先してやき、祖父自身から自立する力を奪ってゆく。
    脳の働きをにぶらせ、体力をうばい、気力を失わせるように導く。
     

    実の娘から容赦なく罵倒され、息をひそめるように生きている祖父。

     

    板挟みの身ながら、「死の手助け」を決めた孫は祖父に変な意味でよりそう。

     

    自分だけは、祖父に対して当たりを柔らかくしようと努力しても、さすがに瞬間的に爆発してしまう。

    そして、我に返り反省。。。

     


    自分が手を貸してやることで日常を過ごすことができていた祖父と別れ、

    就職のため茨城に引っ越す道中、

    自分よりも弱い人間が直近にいなくなったことで

    あきらかに自分自身が最低の位置に落ちたあせりを感じる。

    祖父の存在は自分のモチベーションをあげるひとつのツールだったのか。

    うまく使いこなすことができないままツールを手放してしまった孫と
    使い手を無くしてもなんとかやっていけそうな祖父との距離。

     

    実際は離れたけれど、つながりはいっそう強まったのではないか。。。。

     

    きっと自分がいなくても祖父は介護施設で ” 生かされて ” いくに違いない。

    結構長生きすかるもしれないな。とも感じている。

     

    そんな転機の場面で話は終わります。

     


    同居・別居にかかわらず、老年の親または親族とかかわり、
    「楽に死なせてやりたい。。。」そういう葛藤をかかえている人は少なからずいるはず。

     

    高齢化社会を危惧する時代に沿ったテーマだったんだなという印象です。

     

    又吉先生と同時に芥川賞を受賞した本書。

     

    「火花」はNetflixオリジナルドラマとして世界で配信されているようですが、

    こちらは某監督が撮ったら面白いんじゃないかな、とふと思いました。

     

     


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      • 2019.07.18 Thursday
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